ドイツ留学までの道のり

ドイツに留学したい!と思ったらまず初めにすべきことは何だろう。それをまとめてみました。まず留学という目標から逆算して、何から始めればいいかを考えてみましょう。

 

何が必要?
日本人が90日を超えてドイツに滞在するためには、滞在許可証が必要です。これはドイツ国内で取得できる証明書で、留学を目的とする場合には大学の入学許可・学籍登録が大前提です。したがって、最初に自分がどの街のどの学校で何を勉強するかを決めなければいけません。

 

大学に入るには?
ドイツの大学(学部レベル)で入学許可を得るためには、高卒の資格だけでは十分でないことが多く、日本の大学に合格した実績や、在学している(いた)ことが必要となります。もちろん大学院進学の場合は学士課程を修了しなければいけません。
また学期によって入学者数制限がある専攻とない専攻があり、制限がなければ応募条件を満たした全ての出願者に試験なしで入学許可が出ます(ドイツの大学が「入るのは簡単」と言われるのはこのためです)。ですから、出願の際に制限があるかどうかということを調べるのが大事です。制限がある場合は、日本での高校・大学の成績によって判断されます。


大学でドイツ語力は必要?
外国人はドイツ語の語学試験で一定の成績を収める必要があります。目安は、A1C26段階の中の上から2番目、C1という非常に高いレベルです。
では、願書提出時に、誰もがそのレベルに達していないといけないのでしょうか。そうではありません。ドイツ語の知識が十分でない場合は、出願後、条件付きの入学許可が出され、
(1)
直後に現地で行われるDSHという試験を受験

するか、
(2)
多くの大学に存在する付属のドイツ語コースに1学期以上通い、DSHを受験

することになります。
合格すればその後晴れて大学に通える、というわけです。

 

日本でドイツ語を勉強してから行くべき?
はい、強くお勧めします。上で書いたドイツ語コースに参加するための条件の時点で既にB2レベルのドイツ語力が求められることも多いです。ハイデルベルク大学のようにA1レベルからの授業を用意している大学もありますが、むしろ例外で、競争率も高いです。
日常生活においても、ドイツのお店・銀行・大学に至るまで英語があまり通じないため、ドイツ語の知識がないとストレスもたまりますし、最悪の場合トラブルも起きかねません。
時間と手間をかけずにドイツ留学したい方は、日本にいる時点で上級レベルのドイツ語を習得しておくのがベストです。DSHはドイツでのみ受験可能ですので、日本で受験できる試験は主にTest DaF、もしくはGoethe InstitutZertifikat C1です。出願先の大学によって求められるレベルや試験が違うことがあるので、いずれにせよ大学側に問い合わせるのがいいでしょう。また、願書をドイツまで送るのに時間もかかるので時間には余裕を持って下さい。
続いて、具体的なプロセスについてお話します。

 

出願
出願の時に必要な書類は、主に願書・語学力証明・高校大学の卒業証明書(または在学証明書と卒業見込証明書)です。これら書類は、英語で提出できることもあれば、日本語で発行された証明書類をドイツ語に訳して提出しなければいけないこともあります。翻訳の場合は在日ドイツ大使館・領事館指定の翻訳業者に依頼しなければならず、お金と時間がかかるので余裕を持って準備して下さい。大学や専攻によってこれらのルールが異なるので、念のため一度大学にメールで確認をとることが必要です。遅くとも出願2ヶ月前にはこれらの手続きを始めたほうが良いでしょう。語学試験を受験する場合は更に時間に余裕が必要です。
入学許可を得た後は、出発までに現地での住居を確保できると後々楽になります。大学の寮に入るのが一番理想的ですが、それができない場合はアパートを見つけなければいけません。ドイツの住宅供給事情は日本と比べかなり悪いので、時間をかけても物件を見つけるのは容易ではありません。お金はかかりますが、現地の仲介業者に依頼するのが簡単です。

 

ドイツに到着後
・ドイツに到着してまず必要になるのが連絡手段としての携帯電話です。留学生におすすめなのが、契約期間の縛りがないプリペイドのSIMカードで、月額約10€の基本使用料で電話、SMS、インターネット(速度は容量制限がある上遅い)が使える上、チャージもATMやスーパーのレジで簡単にできます。日本で使っていた携帯電話やスマートフォンがSIMフリー端末であれば、ドイツのSIMカードを端末に差しこむだけです。それ以外の場合は、SIMカードとセットになったスマートフォンや携帯電話を買うことも出来ます。これらはVodafoneO2といった店舗や電気屋さんで、住所がなくても簡単に買うことが出来ます。

・ドイツの住居に引っ越してから1週間以内には済ませたいのが住民登録です。これは市役所のEinwohnermeldeamtというところでできます。これがないと銀行口座も開けず、滞在許可証も取得できないため絶対にすぐに済ませて下さい。入学許可証とパスポートを持参し、留学を始めることを伝えれば、特に問題になることはないでしょう。

・住民登録が終われば、銀行口座を開くことができます。特にSparkasseという銀行は、ATMが街のあちこちにありとても便利です。銀行口座を開くまでは日本からの送金ができないので、ドイツに来るときにはある程度まとまった額のユーロを持ってくる必要があります。

・次は大学で学籍登録、といきたいところですが、その前にドイツの保険に加入しなければいけません。大学に質問すればおすすめの保険を教えてくれるでしょう。AOKBarmer GEKといった保険が一般的です。保険料が毎月口座から引かれる形になるので、銀行口座は必須です。

・保険会社に証明書を発行してもらい、いよいよ入学手続き・学籍登録です。住民登録の書類・保険の証明・入学許可証・登録料が最低必要です。登録料とは学費ではなく、学生としてのサービスを受けるための共益費のようなものです。ドイツの多くの大学の学生は、Semesterticketという近隣都市も含めた一帯の電車・バスなどの公共交通機関乗り放題のチケットを使うことができますが、この料金も登録料に含まれています。これらが全て揃えば、学籍登録証明書と学生証、そしてSemesterticketが手に入ります。

・学籍登録も完了したら、最後に滞在許可証(Aufenthaltserlaubnis)を取得しましょう。日本国籍を持つ人がドイツに90日を超えて滞在する場合は滞在許可証が必要です。
これは各市のAusländerbehördeという機関で申請することができます。必要なのはパスポート、学籍登録証明書、保険会社の証明書、財政証明書、証明写真2枚、手数料です。
財政証明書としては、奨学金の証明書もしくはドイツ大使館・領事館で発行できる日本の口座残高の証明書が必要になります。これは市によっても流動的で、ドイツの銀行の口座残高が必要なこともあります(定期的に生活費として十分な金額が振り込まれているか確認するため)。ドイツでは、特に役所では担当する係員によって対応が大きく異なり、極端な場合は必要な書類ですら違ったりします。ですので、一概に何が必要ということは予めはっきり言うことはできませんが、念のため日本で発行できる書類は全て発行してドイツへ持参したほうが、現地での不測の事態を防ぐことができるでしょう。
滞在許可証の発行には50100€程度の手数料が必要な上、時間も1ヶ月ほどかかります。ですから、申請の際は時間に余裕を持ってください。もし発行されるまでに90日が経過してしまうようであれば、Ausländerbehördeで頼めば仮の滞在許可証を発行してくれます。
ドイツでは常にパスポートと滞在許可証を携帯しなければいけません。スーパーでお酒を買うとき等、日本人は若く見えるのか、大人でもしばしば年齢確認のために身分証明書の提示を求められます。滞在許可証はキャッシュカード等と同じサイズで携帯しやすいので、こういった場合に提示しましょう。

 

現地事情
ドイツの現地事情は各地方によって大きく異なり、また都市部か農村部かでもかなり違います。しかし、共通していえることは、日曜日にはお店が閉まるということです。空港や駅構内といった例外を除き、本当に全て閉まっています。レストランやカフェといった飲食店は日曜日でも営業しているので、食べるものがないという状況には陥りませんが、不便なことには変わりません。もっとも、平日でも日本に比べると営業時間は短めで、例えば20時に閉店するスーパーはドイツでは普通です。
治安は悪くはありませんが、日本ほど良いともいえず特に鉄道駅の近くは怖い雰囲気の場所が多いので気をつけて下さい。暗くなってからは1人で出歩かないようにするなどして自分で自分の身を守りましょう。気をつけすぎても損はしません。
物価に関しては、ミュンヘンやフランクフルトのような大都市は高く、小都市や旧東ドイツは比較的安いです。物価が高いと言っても、スーパーや市場で買うことができる野菜・果物類は日本と比べて非常に安く、自炊生活を遅ればかなり節約することができます。
さすがドイツ、ビールも日本と比べると破格の安さで、一番安いものは500mlでたったの30セントです。また、若者の味方がトルコ料理のケバブです。ドイツにはトルコ人が多いこともあり、あちこちでケバブ屋さんを見かけます。Dönerというケバブは、肉と野菜とパンを同時に摂ることができる上とても大きく、2.54€程度でお腹一杯になります。
日本の食料品が必要な場合は、ほとんどの街にあるベトナム人商店である程度手に入る他、日本人の多いデュッセルドルフまで行けば日本と韓国の食料品店があるので、ラーメンから梅酒まで大抵のものが手に入ります。ホームシックになったらデュッセルドルフへ行きましょう。また水道水を飲むことも出来ますが、硬水なので日本とは味が違います。その場合はスーパーにいけばVolvicのような軟水が売っています。1.5リットルで約1€です。